基塾長の成績の上がるブログ

名張市内で唯一無二の新型「自立教室」を開塾

冬至には柚子湯につからう(エアーコンディショナーの謎)

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今日は冬至です。冬至にはゆず湯にゆっくり浸かって温まるのがいいですね。ふだんはシャワーばかりなのでたまには湯船に浸かりましょうか。名張の湯にでも行きましょうか。

本日の運勢は「欲しいモノが手に入る」ということで、いま欲しいのは「レコードプレイヤ」ですね。一万円以内で売っているので買いに行ってもいいんですが。

さて、昨夜の塾でのこと。

英語の学習をしていた高一生が「エアーコンディショナーって何?」とて。

私は黙って、写真のあたりを指さしました。それをずーっと目で追って「エアコン?」

「その通り!」

「エアは空気か! コンディショナーってなんや?」

「コンディションを整えるものってことやね」

「コンディションって何?」

「今日はコンディションがイイとか悪いとかって言わない?」

首をかしげている。

「まあ、状態ってことやね」

「ああナルホド。空気の状態か」

「温めたり、冷やしたり、湿度を上げたり下げたり、空気の状態を調整するものがエアコン」

「略すから! 最初から略さないで言ってくれたら覚えられるのに」

なんかこの生徒の喋り方は「よつばと!」のよつばみたい。

「まったくそのとおりで。日本では英語を略すからねえ。パソコンとか」

「パーフェクトコンピューター?」

(このあと「パーソナル」の説明するも、ここでは略す)

スマホとか」

スマートフォン

「フォンは電話やね。スマートは日本語では細いって言う意味で使うけど、英語では賢いって意味。つまり賢い電話」

「まんまやん」

「賢い電話」を「まんま」と言える教養に脱帽 m(_)m

ヒカシューの21世紀ベスト1枚目

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というわけで、ようやく20世紀が終り、21世紀ベストを聴いています。

この文章は、私の記憶を元にあまり裏を取らずに書いていますので、憶え違いや誤りがあるかもしれません。バンド自身の座談会がアップされていましたので、こちらのほうがもちろん確かです。

21世紀ヒカシュー座談会|MAKIBRI|note

でもあえて私の個人的な感想を書いていくことにします。

1「入念」

この曲から始まっているのがとても嬉しい。最近のヒカシューのテーマ曲といってもいい曲だけれど、実を言うとずいぶん前から演奏されていて、編曲も変わってきている。

1990年代後半から演奏されていたのではないか。そのころの渋谷のラ・ママで聴いたような憶えがある。井上さんがまだいてドラムスは新井田さんだったのではないかと思うけれどほとんど自信はない。

初めのうちの「入念」は「念には念を入れ」の歌詞のところ何回繰り返すか決まっていなくて延々とやっていた。巻上さんの合図で次のシーケンスに移るのだった。ゼロ年代後半のライヴでは「生きること」の直後に佐藤さんのドラムをきっかけに突入することが多かった。

それにしてもこの歌詞このメロディでファンは大盛り上がりし踊りまくるのだからすごいと思う。シンセサイザーのリフとリズムセクションの走るようなノリがそうさせるのだろう。まあ、ヒカシューファンは変拍子の「プヨプヨ」でも踊るのだから特筆すべきことではないかも知れない。

ライヴで作られたりライヴで成長した曲は多い。このベストには入っていないけれどシングルの「あしたにかけた」は横浜のエアジンという小さな会場で三田さんがどこかのスタジオで見た楽譜にこんなのがあったと弾き始めたのへ巻上さんが即興で歌を付け、周りのメンバーも演奏し始めたのを目撃したことがある。

2「転々」

20世紀ベストはほぼリリース順だったけれど、この21世紀ベストは1枚目はゼロ年代2枚目は2010年代と分かれているけれど、曲順は必ずしも年を追っていない。

「転々」というアルバムが2006年に発売された。ちょうど再びライヴにも行くようになっていた時期で飛びつくように購入した。CDが出るのは10年以上のブランクがあった。発売日直前にライヴがあれば物販で買ってサインをもらうのだけれど、これはもらっていないからしばらく行けなかったときなのかもしれない。「入念」以降はだいたいサインをもらっている。

聴いてみてびっくり。最初から最後まで即興演奏で、聴いている感じだとヴォーカルもインプロヴィゼーションのようだった。このアルバムからニューヨークでの録音が恒例になったけれど、その最初のアルバムに清水さんは参加しておらず4人での演奏になっているからキーボードがいない。

これまでライヴでのインプロヴィゼーションは結構あったけれど、アルバムでは初めてだったのではないだろうか。いや「祈り」とか「偉大なる指揮者」はそうだったか。でも全編というのは初めてだった。

これ以降のライヴでも1曲目は必ずインプロヴィゼーションから始まるようになる。曲順を決めなくなったのはこの頃からだった。

3「グローバルシティの憂鬱」

今のメンバーになるひとつ前のメンバーの時によく演奏していたインターネットをモチーフとする曲。いまのようなブラウザによるネット環境というのはいつごろから始まったんだろうか。その前はパソコン通信ニフティサーブの中に巻上さんのフォーラムもあってそこから情報を得てライヴに行ったりCDを買ったりするようになったのがおそらく1990年代だった。

これも記憶違いなのかもしれないけれど、前のメンバーの最後のライヴと今のメンバーの最初のライヴをつづけて聴きに行った。前のメンバーはシンセサイザー吉森信でドラムが新井田さんだった。吉森さんは最近でもときどきゲストで参加する。そこへパーカッションで佐藤さんが加わっていた。次のライヴに行くと佐藤さんがドラムになっていて、清水さんがキーボードになっていた。

クレジットを見ると野本さんの名前もトリステンの名前もあるので、だいぶ前の録音であるようだが、リリースされたのは「生きること」よりあとだった。

4「脳千鳥」

これがその「生きること」に収録されている。私はむしろ「カモノハシ」の方が好きなんだけれど、どちらもインプロヴィゼーションから始まって歌のパートに接続するという構成になっている。ライヴでもよく演奏されていた。録音ではチェロの音が聴こえる。オキュン・リーだ。

5「恋とガスパチョ

これも前のメンバーの録音が元になっている。夏の定番曲で、この曲を聴いてから夏になるとガスパチョが欲しくなる。「みんなのうた」のために作られた曲だったが「ガスパチョが(こどもには)何かわからないから」という理由でボツになったらしい。「歌詞につくり方が書いてあるのに」と巻上さんは言っていたっけ。確かに「トマトときゅうりとピーマンににんにくとオリーブオイルで作る」と歌われている。そういえば「猫とロマン」も「みんなのうた」でボツになったものらしい。理由は「歌詞が難しい」だったらしい。

CDになる前からよく演奏されていて「珍無類」あたりは曲名も知らなかったがよく聴いた。ライヴでは演奏されていてもCDに入るのはかなり後ということはよくある。「サン・ラはピアニスト」なんかはだいぶ以前から時々演奏されているけれどまだCDに入っていない。

6「生きててよかったなあ」

「転々」に入っているやはりヴォーカルまで含めて即興の曲。ヴォーカルがリフになっているし最後もヴォーカルで終わる。

7「ベトベト」

そのヴォーカルの直後にこの曲のベースラインがいきなり聞こえてドキっとする。これは非常に大好きな曲。ライヴでもよく演奏してくれた。歌詞も身に沁みるし、ずれる歌や重たいコーラスもいい。今回のリマスターで三田さんと坂出さんのコーラスがより粒だって聞こえるようになった気がする。「グローバルシティの憂鬱」でも同様な感じがした。

タイトルは「プヨプヨ」「ドロドロ」「びろびろ」につながるオノマトペ系だけれど、曲調やテーマは特に繋がりはなさそうだ。

8「ユウトリウス」

「転々々」に入っている曲。このアルバム、タイトルからし「転々」の続編に思えて、しばらく購入をためらっていた。「ニコセロン」のシングルを先に聴いたのではなかったか。

「ユウトリウス」はライヴでもよく演った。名古屋のものすごく小さいところで、アコースティックの編成で聴いたこともある。これは即興ではなくて先に曲が出来ていたようだ。

9「デジタルなフランケン」

「グローバルシティの憂鬱」のテーマを引き継いだような曲だがインターネットの爛熟とともに深化しているように思える。「クリックで溺れてく」のところは何度聴いても泣ける。シングルヴァージョンもあるが、こちらは「生きること」で録音されたもの。

10「名もないところに前進だ」

「転々々」の曲で、これはインプロヴィゼーションのようだ。そういえばこのアルバムからテルミンの演奏が全面的にフューチャリングされるようになった。実際は1996年の「放射能」から導入されているし、ライヴでは以前のテルミンを使っていなかった曲でも演奏されていて音に厚みを加えている。

11「ニコセロン」

この曲のタイトルのすごいところはたとえばGoogleで検索してもこの曲のことしか出てこないところだ。つまりこのような単語は日本語にはないということ。そんな言葉を発明できるなんて。

CDではかなりデジタルな編曲に感じるが、ライヴだとドラムやベースの演奏がもっとグルーヴして、自然に踊りだしてしまう。

12「生きること」

ゼロ年代の集大成のような曲。ブレイクが多くて、初めて聴いたらどこで終るのか分からない。現に海外の演奏で、まだ途中なのに拍手が入ることが多いようだ。日本ではあまりそういうことがないのは、知っているというよりも様子を見ている人が多いからのような気がする。

何度も聴くとその構成の妙が分かってくる。演奏自体は毎回異なるが、構成は決まっていて巻上さんの指揮でシーケンスが変遷していく。ヴォーカルパートで3種類のシーケンスがあるし、それ以外にインプロヴィゼーションのパートもある。

歌の良さとインプロヴィゼーションの心地よさと違和感のある演奏がすべて感じられる名曲だ。

ライヴではこの曲の後に「入念」が演奏されることが多い。その意味ではこの1枚目は円環構造をなしていると言える。つまりいつまでも演奏は終らないのだ。

ヒカシューの20世紀ベスト2枚目

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1「人間の顔」

20世紀ベストの2枚目はこの曲から始まる。アルバム「人間の顔」には私が渋谷のエッグマンで聴いていた曲がたくさん入っている。

「人間の顔」は当初、沢田研二に依頼されて書いたらしい。けれど没になったので自分たちのアルバムタイトルとした。沢田研二が「6番目のユウウツ」などでロック路線を走っていたころだと思う。いい曲なのにね。カッコイイと思わなかったのかな。

野本さんのサックスが上手すぎる。「人間の顔は面白い」「素晴らしい」「凄まじい」の三段活用。

2「ゾウアザラシ」

これは野本さんの作曲で、大名作。ゾウアザラシが「私の部屋」を侵食してくる恐怖を歌っている。ゾウアザラシがなんの象徴なのかはよくわからない。巻上さんのヴォーカルはどこかユーモラスだ。

この系統の曲では「ハイアイアイ島」があるが、このベストには入っていない。「ハイアイアイ島」には原作があって、原爆実験で失われた架空の島の生態系を書いた本で、ライヴではその中のドイツ語の詩を三田さんが朗読することで演奏に入るというパターンがあった。

そういえば「水に流して」に入っている「岩」は、大江健三郎の「同時代ゲーム」が原作のような気がする。井上さんのシンセサイザーが決まっている曲だった。「パイク」はジャリが原作だったし、ほかにもそういう曲がいくつかある。「次の岩につづく」はタイトルだけらしいけれど。

3「何にもない男」

アルバムで聴いたときはそれほど印象に残らなかったのだけれど、ライヴでやるとギターのリフがものすごく印象的だ。「ヒカシューヒストリー」にはこのころのライヴ音源が入っている。バスクラがギターに絡むのだけれど、往年は野本さんが、最近は清水さんが演奏している。

4「天国を覗きたい」

ヒカシュー独自のクリスマスソング。といってもサンタクロースが殺される話。

野本さんの曲であり、野本さんのサックスが鋭く響いている。

野本さんは80年代半ばから90年代後半までずっとメンバーだったが、そのあとお亡くなりになった。追悼の意味もあって毎年クリスマスライヴでは必ず演奏される。

チャラン・ポ・ランタンと共演したヴァージョンはシングル「チャクラ開き」に収録されている。小春さんのアコーディオンと巻上さんの口琴が響き合っている名演だ。これもクリスマスライヴで披露されたっけ。

5「丁重なおもてなし」

このあたりから私はライヴから遠ざかった。それまで東京に住んでいたのが地元に帰ってきたからというのが最も大きい理由だった。この曲もライヴではじめて聞いたのは2000年前後だと思う。

巻上さんがコルネットを吹いている。このベストでは初のお目見えだが、収録されていない曲ではもっと前から演奏していた。80年代後半のエッグマンでも。

6「キメラ」

遺伝子操作の歌。この曲から30年近く経ったいまでは、遺伝子組み換え種子で大儲けをしている大企業があるし、それへの批判も大きくあるのだけれど、あいかわらず「誰もが生活を理由に無視」し続けている。人類が滅びるのが先かヒカシューがいなくなるのが先か。まあ多分、私が死ぬのが一番早い。

「背中には羽が心には沼が」ものすごく響く歌詞だ。

アルバム「丁重なおもてなし」に入っている曲で一番好きなのは「わが国」だけれど、このベストには入っていない。ほかの曲とかぶるという理由もあるだろうけれどライヴでも一度も聴いたことがない。

「祈り」が入っていないので大友さんの曲がひとつも入っていないことになる。

また、このアルバムの途中でドラムの谷口さんが急逝している。

7「うたえないうた」

これは最近カズレーサーが薦めたことで再び売れ始めた筒井康隆の「残像に口紅を」が原作だと思う。そこからさらに昇華して巻上さんらしい深みとセンチメンタルが両立する素晴らしい詩と曲になっている。曲は坂出さん。

このあたりがヒカシューの最初の爛熟期だろう。

8「びろびろ」

アルバム「はなうたはじめ」からドラムにつの犬が加わってジャジーな感じになってくる。ピアノソロが聞こえるなあと思ったら高瀬アキさんだった。

この曲も最初はそんなに感心しなかったのだけれど、ライヴでは欠かせない曲となった。「ピース」のレスポンス、みんなでやろうね。

9「もったいない話」

この曲もかなりライヴで聞いた。不規則な構成の曲。これの発展型が「生きること」ななるんだろう。巻上さんの右手の動きは「振り付け」なのか「指揮」なのか。

10「虫の知らせ」

この曲も野本さんのサックスが美しい。コルネットとの掛け合いもいい。

11「あっちの目こっちの目」

このアルバムから井上さんが脱退して、トルステン・ラッシュが加わるが、私はトルステンをライヴで見たことがない。井上さんはその後もときどきゲストという形で参加する。客席で会うこともある。いまは幼稚園の園長先生で、その幼稚園では巻上さんのライヴがあったりする。そういえば最近、井上さんと山下さんの「イノヤマランド」がヨーロッパを中心に売れ出して、日本でのライヴも何回も行われている。

ローレン・ニュートン(ヴォイス)がゲストで参加していて、この曲は彼女のための曲のようだ。少し前に「ジャズアート仙川」に来日して、そのときももちろんこの曲をやったはずだが、私は行けなかった。

12「石仏」

ハンジー・ノバクがエレキバイオリンで参加している。実はヒカシューとヴァイオリンの相性はとても良く、ライヴのゲストにヴァイオリンが入っているときは実に良い。アレクセイ・アイギの演奏は横浜ジャズで聴くことができた。太田恵資さんが加わった演奏も聴いたことがある。

13「さなぎ」

いま聴くと前奏のヴォイスがすごく怖い。このベストはすべてオノセイゲンによるリマスターなので、「いま」の音になっているし、聞こえていなかった音が粒立ったりしている。

「さなぎ」というタイトルの筒井康隆の短篇があったけれど、どんな内容か忘れた。

14「不思議をみつめて」

ライヴに行かなくなっていてもCDはちゃんと買っていて「超時空世紀オーガス02」のサウンドトラックも当然のように持っている。あのころはどうやって発売情報を得ていたんだろう。今みたいにインターネットで簡単に検索できるような時代ではなかったし、ニフティサーブのようなパソコン通信にはまったのももう少し後だったと思う。たぶん実際にお店に行ってチェックしていたんだろう。月に一回くらい日本橋の電気街に出てCDやLDを買っていた。「マクロス」などのLDも随分持っていたけれどプレイヤが壊れてしまって全て売ってしまった。「オーガス」はレンタルヴィデオで見た記憶があり、そのオープンエンディングにやきもきした。「02」のほうはまだ観たことがない。

アニメの主題歌なんだけれどすごくいい曲だし、変だし、歌の入っていないほかの効果音楽を聴くとインプロヴィゼーションのエッセンスを集めたすごいものになっている。

いまは「不思議をみつめて」というタイトルでリマスタリング・再発売されている。

15「20世紀の終りに 1996ver.」

「1996ver.」というのは「かわっている」というセルフカヴァーアルバムのヴァージョンである。このころのメンバーのものはあまり音源が残っていない。キーボードに吉森信が加わり、ドラムスが新井田耕三に変わっている。

メロトロンの音も聞こえるような気がするんだけれどクレジットにはないからサンプラーなのかな。

16「パイク 1996ver.」

「20世紀の終りに」は、「かわってる」ヴァージョンではなく原曲に近いかたちでライヴでも演奏されるが、「パイク」はこのヴァージョンに近い形で演奏されている。とはいえ「ヒカシューLIVE」(1991)ですでに現在の形に近くなっている。

ラストで巻上さんのホーメイが聞こえる。テルミンはまだ聞こえない。1998年の「放射能」のカヴァーで初めてお目見えするがライヴではいつごろからやっていたのか憶えていない。

前回のブログの最後に「成績が上がるかどうか」について書いたのを読んだ人から「民族の祭典」(巻上さんのソロアルバムだけれどメンバーはほぼ「うわさの人類」のころのヒカシュー)の帯を思い出したとの連絡があった。「聴く奴の偏差値が暴かれる!」と書いてあった。趣旨は違うがまあそういうことです。趣旨といえばそもそもこのブログにこんなことを書いている時点で趣旨が違うわけだが、でもヒカシューを聴けば成績の上がることもあるよ。

ヒカシューの20世紀ベスト1枚目

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ヒカシューというバンドが結成されて40年が経った。その1978年私はまだ中学生だったので、レコードの出ていないバンドの存在など知る由もなかった。そのベストアルバムがきょう発売されたので、聴いていく。

1「レトリックス&ロジックス」

たぶんこれが私が初めて聴いたこのバンドの曲。デビューアルバムの1曲目に入っている。中3のころ同級生の榎本君の家に行って、聴かされたカセットテープの2本のうち1本が「ヒカシュー」だった。もう1本は「クイーン」だったと思う。当時FMで、発売されたばかりのLPをまるまるかけるという番組があってそれを榎本くんがエアチェックしたものだった。「これが最近流行っている新しい曲だ」というニュアンスでの紹介だったと思う。

ピコピコというシンセサイザーの音で始まり、どちらも不可算名詞なのに複数形になっている抽象語の歌詞がつづく。(ほかの歌詞のパロールとかロゴスとかフレーズとかはちゃんと単数形なっている)たぶんこの曲を初めて聴いたときはそれほど感慨はなかったと思う。それでも投げやりなサックスなどがいい。初期のメンバーでは戸部さんがサックスを吹いている。

この曲はその後ライヴでも頻繁に演奏された印象がある。近年では、前奏は口琴で演奏される。録音には入っていないはずのその口琴の音が聞こえる。そう、このアルバムは聞こえない音まで聴こえるのだ。それは40年の音源やライヴの記憶を呼び醒ますからだ。それを引き起こすだけの選曲と曲順になっている。

2「20世紀の終りに」

言わずと知れたデビューシングル。私は最初からアルバムで買ったのでシングル盤は聴いたことがない。テレビでもよく歌っていた。

初期のヒカシューは巻上さんのベースヴォーカルなのだけど、テレビに出たときにベースを弾かないで、なにか石鹸箱大の物を持って頭にぶつけて音を鳴らしていたことがあった。司会者に「それはなんですか」と聞かれて「シンセドラム」と答えていた記憶がある。叩くとびょーんという音が鳴るのだった。

合いの手の奇声はメロトロンだろうか。近頃のライヴでは三田さんのコーラスで表現される。最初の「イヤヨ」は巻上さんだけれど、「1978」所収のデモバージョンではその前に「いいだろ」という声も録音されている。

サビの「声をあげて」「頭を使って」のところ、ライヴでは全員で人差し指をかかげて「ハイハイハイ」とレスポンスする。

3「ドロドロ」

ここにこの曲を持ってくるところが心憎い。シングル「20世紀の終りに」のB面。でも私はこれは「ヒカシュースーパー」というアルバムで初めて聞いたはず。そのアルバム自体は1981に出ているようだけれど、私が入手したのは多分もっとあと、80年代半ばに中古レコード屋で見つけたのだったと思う。しかし一方で高校生のころにギター弾き語りで歌っていた記憶もある。もしかしたらシングルも持っていたのかもしれない。

曲調が特撮っぽいのは井上さんの作曲だからだろう。

4「プヨプヨ」

初期のテーマ曲とも言える曲。変拍子、メロトロンによる効果音、不気味なヴォーカル。合いの手に「ヒカシュー!」とバンド名が入る。ライヴでは三田さんの変なパフォーマンスも入る。

5「幼虫の危機」

さらに狂気が促進する。「楽しいな 人間も死ぬなんて」こんな歌詞ほかで聞いたことがなかった。たぶん最初はこの曲にいかれたんだと思う。「歌」が(大切だとしても)中心ではなく、演奏が主体のバンドなんだという印象も「プヨプヨ」とこの曲で抱いたと思う。

6「白いハイウェイ」

これもシングルだけの曲だったけれど、テレビCMに使われていたのでよく聞いていた。そう、ヒカシューの曲がそのままCMに使われていた時代があったのだ。このベストには収録されていないが「オアシスの夢」なんかもそうだった。

狂気を感じさせるバンドなのに、テレビでも流れているからというエクスキューズで聴いていたようにも思う。

7「アルタネイティヴ・サン」

たぶん高校生のころ最もよく聞いたのがこの曲だった。2枚目のアルバム「夏」の1曲目。海琳さんのギターリフで始まるのがカッコいい。多分この曲で私は三田さんの大ファンになったのだ。いまでもライヴのときは、三田さんの真正面に陣取る。そうするとサービスで手の届く距離でギターソロを聴かせてくれたりする。

当時は「アルタネイティヴ」の意味がよくわかっていなくて「ネイティヴ」からの印象で「原初の」という感じかと思っていた。ほんとうは「オールタナティヴ」で「二者択一」という意味だと大学生のころに知った。そういうジャンルの音楽があるのだと。

巻上さんのソロアルバム「民族の祭典」に別のアレンジで収録されていて、その曲調からのイメージだったのかもしれない。

ラストのヴォイスのハナモゲラが最凶である。

8「パイク」

「20世紀の終りに」とならぶ初期の有名曲だけれど、確かシングルカットされていない。映画に使われたりベンチャーズと共演したりテレビで演ったりして有名になったのか。

歌詞は少なく繰り返しで、やはりインプロヴィゼーションの要素が色濃い。その点では「プヨプヨ」の流れであるとも言えそうだ。

「夏」に収録されている録音では、ベースラインが不気味で当然あのころは巻上さんが弾いていたわけだけれど、ライヴでやる坂出さんのベースはノリノリである。「パイク」にはいくつものヴァージョン違いがあって、英語版もあるのだけれどなんとなく韓国語っぽく聞こえるのはなぜだろう。

先日ライヴ終りに、巻上さんに聞いたところ、この歌詞はアルフレド・ジャリの詩から着想を得たという。ジャリの「馬的思考」という本をパラパラとめくってみたら「溺死体」の話がちょっとそれらしい。

9「マスク」

この流れの曲に「炎天下」や「スイカの行進」があると思うのだけど、今回は収録されていない。「炎天下」は、メジャーデビューするときに歌詞を変えさせられたという因縁がある。デモ版「1978」では元通りの歌詞だし、ライヴではそのもとの歌詞で歌う。「スイカの行進」は夏のライヴではかなりの確率でやってくれる。

「マスク」のブレークは後の「びろびろ」にも通じていると思う。これも一種のインプロヴィゼーションであると解釈できる。

あれはなんの時だっただろう。インフルエンザが流行ったか何か(違う。放射能よけだった。そういえばヒカシューにはクラフトワークの「放射能」のカヴァーがある)で、みんなマスクをするようになった。そのうちおしゃれで付けるようになった人もいたけれど、表情を隠すためというのも大きな理由の一つだったと思う。その魁がこの歌の歌詞になっているので、その頃よく歌われた。「マスクをつけて・・・これで安心・・・」

10「ガラスのダンス」

悪名高い加山雄三主演のテレビ版「ブラックジャック」のエンディングテーマだったから、放映時に聴いている。CDには入っていないけど「ブラックジャック!」というシャウトが曲の前にあったような気がする。記憶違いかもしれないけれど。そうだとしてもこのアルバムを聴いているとそういう音も聞こえるのだ。過去と未来。捏造された記憶と不幸な夢。それらすべてを包含するのがこのアルバムだといっていい。

11「うわさの人類」

高校生のときヒカシューのアルバム「うわさの人類」と巻上さんのソロアルバム「民族の祭典」をカセットテープの両面に録音してオートリバースにして聴きながらソファで寝ていたから、もう無意識の層に染み込んでいるだろう。

「光新たな未来像」というところは横浜だかの市歌からとったとライヴのときに言っていた。

12「出来事」

13「予期せぬ結合」

海琳さんの作曲と山下さんの作曲。ひところライヴのはじめの方でロック調のノリの良い曲を連続して演奏していて、それがこの二曲や「レトリックス&ロジックス」や「アルタネイティヴ・サン」だった。最近あまり演らないのは、新しい曲でノリの良い曲が増えたからだろう。

この1枚目は山下さんの作曲が多い。山下さんと戸部さんは「うわさの人類」と「日本の笑顔」の間に脱退した。ドラムの泉水さんはアルバムで言うと「うわさの人類」だけだがテレビにもよく出ていた。そのあとヤプーズという戸川純のバンドに加入した。ヤプーズのあとはしばらく活動していなかったようだけど、最近はジョリッツという新しいバンドでドラムを叩いている。

14「日本の笑顔」

4曲入りのミニアルバムという体で発売された。このあたりからベースの坂出さんが加入して、巻上さんはヴォーカルに専念する。ギター、ベース、シンセ、ドラムスというシンプルな構成になっている。

コーラスで戸川純が歌っている。このアルバムを聞いたときはもう戸川純を知っていたような気がする。「玉姫様」を既に聞いていたのではないだろうか。調べたら同じ年の発売だった。なにかのインタビューで「このコーラスは誰」と聞かれて巻上さんが「戸川純という女優さん」と答えていた憶えがある。

つい数年前クリスマスライヴでの共演が叶ったけれど純ちゃんと巻上さんのデュエット曲は「おおブレネリ」や「神聖ムー帝国」とか結構ある。

15「水に流して」

「日本の笑顔」の後に出たアルバムで、その後二枚は合体してひとつのCDになった。もともとその予定が、諸事情で別々にリリースされたものだったらしい。

このあたりからドラムスが谷口さんになり、サックスの野本さんが加入して、音に厚みが増す。野本さんは既にフリージャズで台頭していたひとだった。私が学生時代よく渋谷のエッグマンに聴きに行っていた当時はこの編成だった。

16「魅惑のペイブメント

余韻を残す曲。これで1枚目が終る。結構紙数を費やした。2枚目は今聴き始めたところ。

ヒカシューを聴いて成績は上がるか。たぶん上がると思う。何かを感じ、物事を考えるようになるからだ。

ちょっと考えればわかることなのに考えようとしないのか考えることができないのか

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みんなゴーンの逮捕劇なんかに興味があるの?

ばっかじゃない。

その影で水道民営化法案が強行採決。いやもう参議院やしね。衆議院で可決されたのは、オウム死刑が執行されたとき。このようにコントロールされていてなんとも思いませんか。

水道が民営化されるとどうなるか。

まず値段がどんどん上がる。だって競争相手いないし、民間企業は儲けるのが使命だから。

そして払えなくなったら水道を止められる。私企業だから当たり前。

水道代を払えない人のために、奇特な方が水を分け与えたらどうなるか。営業妨害として訴えられる。

井戸があれば大丈夫? 同じ水源だからという理由で使用することは盗用となる。

雨水は? だってそれが元々の水源だよね。その権利は水企業にあるわけだ。

ということで、高い金払って水道を使用するか、水を使わないで死ぬかしかなくなる。

ちょっと考えればわかること。

 

じゃばじゃりばー

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それはさておき、これも先日の塾でのこと。

高校1年生の生徒が、リスニングの教材に取り組んでいる。パソコンにCDを入れて、ポーズを駆使して何回も聴き直している。

「じゃばじゃりばー、としか聞こえへんねん」と、おっしゃる。

「へ?」と思ったけど、よく聞いてみると、確かに聞こえる。耳がイイ。でも単語がわかってないから、答えがわからない。

こんな感じ・・・

・・・ bridge over the river.

[bri-dge]の後半の[dge]から文末まで、リエゾンしているので、「じゃばじゃりばー」で合ってる。ただし、Bの音ではなくてVの音だけど。

ほかにも聞き分けができない音があって、たとえばTHの音がDに聞こえる。しかしこれはむしろ進歩。中学生の時はTHをZの発音で言っていたのだ。それがDに聞こえるということがわかったのだから。

いろいろ忘れてしまっている・・・

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ボージョレヌーヴォーの解禁を来週だと思っていて、カレンダにもそうチェックしていました。バカですね。一日遅れで安いのを買ってきて飲みました。ちょっと甘い。そんないい出来ではないように思いますが、蔵元によって味も違うから他のも飲んでみないと何とも言えません。

さて、日米野球(あんまり見なかったけど)も終わって、本当に今年の野球は終わりました。まあ、私にとっては例年イチローが出なくなった段階でだいたい終わりなんですが。

今年はオータニのおかげでかなり楽しめました。来年は日本開幕戦でのイチローの登場が楽しみです。それまでわずか四か月ほどです。

今年のワールドシリーズは、なんだか打ち合いで終わったという印象でした。本当はいろいろあったわけですが、そのいろいろのうち、最も記憶に残っているのは「延長18回の死闘」でした^^;

実はその日ヒカシューのライヴがあって津に行っていたので試合は録画で後から見たのですが、打上で行ったおでん屋さんでまだ日本シリーズをやっていたのに驚きました。

でもいつの間にか終わっていました・・・引き分け? まだそんなのあるんですね。