去年読んだ本
去年の正月には、中町信の「殺意」シリーズを読んでいた。その中でも「天啓の殺意」に最も感銘を受けた覚えがあるが、どんなトリックだったかよく覚えていない^^;
マンガはあまり読まなくなったが「それ町」が完結したので、全巻読み返したっけ。それでも、ちゃんとした時系列がわからなかった。「恋は雨上がり」は興味深い展開を見せているので今後に期待。
話題の「騎士団長殺し」は、最近の村上春樹としては出来のいいほうだと思ったが、そんなにいいと思わなかった。
笙野頼子は「猫道」「猫キッチン荒神」と新旧ともに大傑作だった。
「三日間の幸福」は、ライトノベルだが、感涙ものだった。特にタイトルの「三日間」を描かないところが好感を持てた。
積ん読だったドノソを読むことができた。「夜のみだらな鳥」は、学生時代から読もうと思って果たせていなかった。妄想と悪夢の大傑作。ロブ・グリエに至っては、高校生くらいからの懸案。こんなにアンチロマンが面白いとは。
多和田葉子「献灯使」は、震災文学の異端といってもいい。これが幻想文学のやり方なのだ。松浦理英子の「最愛のこども」も面白かった。こちらは意外にストレートな寓話だった。
澁澤龍彦の積ん読消化も果たせたが、一番面白かったのはアンソロジーの「暗黒のメルヘン」だった。一冊の文学全集といってもいい。
北村薫の書誌ミステリ「太宰治の辞書」は、本好きにはたまらない。本好きの心情を歌い上げた。
辻村深月「ハケンアニメ」「かがみの孤城」と、素晴らしすぎる活躍だった。サブカルチャーの存在が、若い心を救けるのだ。だから、私もずっと本を読み続けている。
「カゲロウデイズ」の最終巻は、まだこれから読む。
ということで今年のベストは、
辻村深月「かがみの孤城」
澁澤龍彦編「暗黒のメルヘン」
多和田葉子「献灯使」
三秋縋「三日間の幸福」
ドノソ「夜のみだらな鳥」
ロブ・グリエ「消しゴム」